「葉酸サプリって、いつまで飲めばいいんだろう…?」
こんにちは、「まちかど薬局情報館」で、管理栄養士・マタニティフードアドバイザーをしている編集員です。
産婦人科クリニックで多くのプレママやママとお話しする中で、この質問を本当にたくさん伺ってきました。
インターネットで検索すると、たくさんの情報があふれていて、「結局、何を信じたらいいの?」と不安になってしまいますよね。
特に、これからママになる方、そして今まさに新しい命を育んでいる方にとって、サプリメントはご自身の体、そして赤ちゃんに直接関わるもの。
だからこそ、正確な情報に基づいて、納得して選んでいただきたいと心から思っています。
結論からお伝えすると、葉酸サプリは、元気な赤ちゃんを迎えるために妊活を始める1ヶ月以上前から授乳が終わるまでの継続が推奨されています。
この記事では、なぜその期間に葉酸が必要なのか、厚生労働省の基準に基づいた正しい知識と、後悔しないサプリの選び方を、薬剤師の西口先生監修のもと、分かりやすく丁寧に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、「いつまで」という疑問が解消されるだけでなく、葉酸という栄養素が、いかにママと赤ちゃんの強い味方であるかをご理解いただけるはずです。
一緒に、一つひとつの疑問を解決していきましょう。
この記事でわかること
- 葉酸サプリを「いつからいつまで」飲むべきか、時期ごとの明確な理由
- 厚生労働省が推奨する葉酸の摂取量と、不足・過剰摂取のリスク
- 管理栄養士が教える、自分に合った葉酸サプリを見つけるための5つのポイント
結論|葉酸サプリは「妊活開始1ヶ月前〜授乳期終了まで」飲もう
このセクションでは、まず皆さんが一番知りたい「葉酸サプリはいつまで飲むべきか」という疑問に、結論からお答えします。
推奨されている期間は「妊活を始める1ヶ月以上前から、授乳期が終わるまで」です。
なぜこんなに長い期間、葉酸が必要なのでしょうか。
それは、葉酸がそれぞれのステージで、ママと赤ちゃんにとって、かけがえのない大切な役割を果たしているからです。

それぞれの期間での葉酸の役割を、まずは簡単にご紹介しますね。
【妊活期〜妊娠初期(〜12週)】最も重要な期間!赤ちゃんの成長をサポート
この時期は、葉酸が最も重要とされる期間です。
なぜなら、お腹の赤ちゃんの脳や脊髄(せきずい)など、中枢神経系の基礎が作られる、とても大切な時期だからです。
特に、妊娠に気づく前の妊娠超初期から、葉酸は重要な働きをしています。
この時期に十分な葉酸が満たされていることで、赤ちゃんの先天的なリスクである「神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)」の発症リスクを大幅に減らすことができると、多くの研究で報告されています。
将来生まれてくる赤ちゃんのための、最初の贈り物とも言えるでしょう。
【妊娠中期・後期(13週〜)】ママと赤ちゃんの健康を維持するために必要
妊娠中期から後期にかけては、赤ちゃんがぐんぐん大きく成長する時期です。
この成長を支えるために、ママの体では血液がさかんに作られます。
葉酸は、赤血球を作るために不可欠な栄養素であるため、「造血(ぞうけつ)のビタミン」とも呼ばれています。
この時期に葉酸が不足すると、ママが貧血になりやすくなるだけでなく、赤ちゃんの発育にも影響が出てしまう可能性があります。
ママ自身の健康を維持し、赤ちゃんに十分な栄養を届けるためにも、葉酸は引き続き重要な役割を担うのです。
【授乳期】母乳を通じて赤ちゃんに栄養を届ける大切な役割
出産後も、葉酸の役割は終わりません。
葉酸は母乳を通して、赤ちゃんに届けられます。
産まれたばかりの赤ちゃんは、その後も急速に成長を続けます。
その成長をサポートするために、母乳に含まれる葉酸はとても大切です。
また、出産という大仕事を終えたママの体は、大きなダメージを受けています。
葉酸は、このダメージを回復させたり、新しい血液を作って体力を補ったりする働きも助けてくれます。
ママと赤ちゃんの両方にとって、授乳期の葉酸は健康を支える縁の下の力持ちなのです。
【時期別】なぜ葉酸が必要なの?妊活〜授乳期までの大切な役割
前のセクションで、妊活から授乳期まで葉酸が大切であることをお伝えしました。
ここでは、さらに一歩踏み込んで、「なぜ、その時期に葉酸が必要なのか」という理由を、体のメカニズムと共に詳しく解説していきます。
理由を知ることで、葉酸サプリを飲むことへの納得感が深まり、毎日の習慣にしやすくなりますよ。
【妊活〜妊娠初期】赤ちゃんの脳や神経を作る「神経管閉鎖障害」のリスクを減らす
妊活中から妊娠初期にかけて葉酸の摂取が強く推奨される最大の理由は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害という先天性の異常の発症リスクを低減するためです。
少し専門的なお話になりますが、お付き合いくださいね。
赤ちゃんの脳や脊髄といった中枢神経は、「神経管」という管状の組織から作られます。この神経管は、妊娠6週目ごろには完成します。
これは、多くの女性がまだ妊娠に気づかないか、気づいたばかりの非常に早い時期です。
この神経管が作られる過程で、正常に管が閉じないと、脳や脊髄に障害が残ってしまうことがあります。
これが神経管閉鎖障害です。葉酸は、細胞が新しく作られたり、増えたりする際にDNAの合成を助ける働きがあります。
神経管が作られる時期は、まさに細胞分裂が最も活発な時期。
この時にママの体に葉酸が十分に蓄えられていることで、細胞の正常な分裂をサポートし、神経管が正しく閉じる手助けをしてくれるのです。
ちなみに、アメリカなど一部の国では、パンやシリアルなどの穀物に葉酸を添加することが法律で義務付けられており、その結果、神経管閉鎖障害の発生率が大幅に減少しました。
日本ではこのような国の政策がないため、一人ひとりが意識してサプリメントを摂取することが、赤ちゃんの健康を守る上でより一層重要になります。
西口薬剤師 (株式会社まちかどメディカル 代表取締役) のアドバイス

「薬局の現場でも、『妊娠が分かったので、葉酸サプリを始めたいのですが…』というご相談をよくお受けします。もちろん、気づいた時から始めることも非常に大切です。ですが、神経管が作られるのは本当に早い時期なんです。そのため、妊娠が判明してから慌てて飲み始めるのではなく、将来赤ちゃんを望むすべての女性に、妊活を始めた段階から、できれば妊娠の1ヶ月以上前から摂取していただきたいと、専門家の立場から強くお伝えしたいですね。」
【妊娠中期・後期】ママの貧血予防と赤ちゃんの成長をサポート
妊娠中期から後期に入ると、お腹の赤ちゃんは目覚ましいスピードで成長します。
この成長を支えるため、ママの体の中では大きな変化が起こります。
その一つが、血液量の増加です。
赤ちゃんに酸素や栄養を届けるために、妊娠していない時に比べて血液の全体量が約1.5倍にもなると言われています。
血液の主成分である赤血球は、葉酸やビタミンB12、鉄といった栄養素から作られます。
血液量が急激に増えるこの時期は、当然ながらこれらの栄養素の必要量も大幅にアップします。
もし葉酸が不足すると、正常な赤血球が作られなくなり、「巨赤芽球性貧血」という特殊な貧血を引き起こす可能性があります。
貧血になると、めまいや立ちくらみ、動悸、息切れといった症状が現れ、ママの体に大きな負担がかかります。
それだけでなく、赤ちゃんへの酸素供給が滞り、発育に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
ママ自身の体調を整え、赤ちゃんを健やかに育むためにも、この時期の葉酸補給は欠かせないのです。
【授乳期】母乳の質を高め、産後のママの身体の回復を助ける
「出産したら、もう葉酸サプリは卒業かな?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、授乳期も大切な期間です。
まず、葉酸は母乳の成分の一部となって、赤ちゃんに届けられます。
生後数ヶ月の赤ちゃんは、驚異的なスピードで成長し、体重は数ヶ月で倍以上になります。
この急速な細胞分裂と成長を、母乳に含まれる葉酸がサポートしています。
そして、ママ自身にとっても葉酸は重要です。
出産は、交通事故に遭ったのと同じくらいのダメージを体に受けると言われるほど、ママの体に大きな負担をかけます。
傷ついた子宮や体の回復には、新しい細胞がどんどん作られる必要があります。
葉酸は、この細胞の再生を助ける働きがあります。
また、出産時の出血や、母乳の生成によって、ママの体は血液を失いやすい状態にあります。
葉酸は造血をサポートし、産後の貧血を防ぎ、体力の回復を早める手助けをしてくれます。
慣れない育児で心身ともに疲れやすい時期だからこそ、栄養面からしっかりと自分の体をケアしてあげることが大切です。

【根拠】厚生労働省の推奨する葉酸摂取量
葉酸の重要性をご理解いただいたところで、次に気になるのは「じゃあ、具体的にどれくらいの量を摂ればいいの?」という点ですよね。
自己判断で量を決めるのは不安なもの。
ここでは、最も信頼できる情報源である厚生労働省が示している推奨摂取量について、具体的な数値をもとに詳しく見ていきましょう。
妊娠時期別の葉酸推奨摂取量グラフ

普段の食事にプラスして
厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、18歳以上の女性が1日に摂るべき葉酸の推奨摂取量は240μgとされています。
これは、健康を維持するための基本的な量です。
しかし、妊娠を計画している女性、妊娠中の女性、授乳中の女性は、通常よりも多くの葉酸が必要となるため、以下の量が追加で推奨されています(付加量)。
- 妊活期〜妊娠初期: 通常量 240μg + 400μg
- 妊娠中期〜後期: 通常量 240μg + 240μg
- 授乳期: 通常量 240μg + 100μg
特に注目すべきは、妊活期から妊娠初期にかけての +400μg という数値です。
厚生労働省は、この 400μg について、「通常の食品に加えて、サプリメントなどの栄養補助食品から摂取することが望まれる」と明記しています。
これは、後ほど詳しく説明しますが、食事からだけでこの量を安定して摂取するのは難しく、またサプリメントに含まれる葉酸の方が体内での利用効率が高いからです。
摂りすぎはNG?耐容上限量(1,000μg)も知っておこう
「体に良いなら、たくさん摂った方がいいのでは?」と思うかもしれませんが、それは間違いです。
葉酸にも、1日の摂取量の上限が定められており、これを耐容上限量(たいようじょうげんりょう)と呼びます。
サプリメントなどに含まれる合成の葉酸(モノグルタミン酸型葉酸)の耐容上限量は、1日あたり (年齢により異なる)と設定されています。
通常の食事に含まれる葉酸は、過剰摂取のリスクはほとんどないと考えられていますが、サプリメントで安易に大量摂取するのは注意が必要です。
過剰摂取を続けると、ビタミンB12欠乏症の発見が遅れるなどの健康リスクが指摘されています。
西口薬剤師 (株式会社まちかどメディカル 代表取締役) のアドバイス

「最近は、葉酸サプリだけでなく、鉄分サプリやマルチビタミンなど、複数のサプリを併用されている方も多いですね。その際に注意していただきたいのが、栄養素の重複です。例えば、葉酸サプリに加えて、飲んでいるマルチビタミンにも葉酸が含まれていると、知らず知らずのうちに耐容上限量を超えてしまう可能性があります。新しいサプリを始める前には、必ず今飲んでいるものの成分表示を確認し、合計でどれくらいの量になるのかを計算する習慣をつけましょう。不安な場合は、かかりつけの医師や、お近くの薬局の薬剤師にぜひご相談ください。」
情報源:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
この記事でご紹介している数値や情報は、すべて以下の公的な資料に基づいています。
情報が氾濫する中で、信頼できる情報源にあたることが、ママと赤ちゃんの健康を守る第一歩です。
情報源: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
概要: この資料は、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示したものであり、日本の栄養政策の根幹となるものです。
そもそも葉酸とは?食事とサプリの違い
ここまで葉酸の重要性についてお話ししてきましたが、「そもそも葉酸って、ほうれん草とかに含まれている栄養素でしょ?食事だけじゃダメなの?」という疑問をお持ちの方も多いと思います。
実は、食品に含まれている葉酸と、サプリメントに含まれている葉酸は、少し性質が異なります。
この違いを知ることが、なぜサプリメントでの摂取が推奨されているのかを理解する鍵となります。
食事に含まれる「ポリグルタミン酸型葉酸」の特徴
ほうれん草やブロッコリー、枝豆、いちごなどの食品に天然の形で含まれている葉酸を「ポリグルタミン酸型葉酸(ぽりぐるたみんさんがたようさん)」と呼びます。
このポリグルタミン酸型葉酸には、2つの大きな特徴があります。
一つは、熱や光、水に弱く、調理過程で失われやすいこと。例えば、ほうれん草を茹でると、約半分の葉酸が失われてしまうと言われています。
もう一つの特徴は、体内での吸収効率です。
ポリグルタミン酸型葉酸は、その名の通り、複数のグルタミン酸が結合した複雑な構造をしています。
そのため、体内で一度分解されてからでないと吸収できず、食べた量の約50%程度しか利用できないと考えられています。
サプリに含まれる「モノグルタミン酸型葉酸」の特徴
一方、葉酸サプリメントや、葉酸が添加されたシリアルなどの食品に含まれているのは、「モノグルタミン酸型葉酸(ものぐるたみんさんがたようさん)」という合成の葉酸です。
こちらは、グルタミン酸が一つしかついていないシンプルな構造をしています。
そのため、体内での分解プロセスが必要なく、直接吸収することができます。
また、熱や光にも比較的強く、安定しているのが特徴です。
なぜサプリでの摂取が推奨されるの?吸収率の違い
もうお分かりですね。厚生労働省がサプリメントでの +400μg の摂取を推奨する最大の理由は、この体内での利用効率(吸収率)の違いにあります。
- 食事由来の葉酸(ポリグルタミン酸型):利用効率 約50%
- サプリ由来の葉酸(モノグルタミン酸型):利用効率 約85%
この差は非常に大きいですよね。
神経管閉鎖障害のリスク低減に関する研究の多くが、この利用効率の高いモノグルタミン酸型葉酸を用いて行われています。
そのため、赤ちゃんの健やかな成長のために、より確実性の高いサプリメントからの摂取が推奨されているのです。
もちろん、食事から葉酸を摂ることも非常に大切です。
サプリはあくまでも「付加」するもの。バランスの取れた食事を基本に、サプリメントを上手に活用していきましょう。
食事の葉酸とサプリの葉酸の比較表
| 項目 | 食事由来の葉酸 | サプリ由来の葉酸 |
|---|---|---|
| 名称 | ポリグルタミン酸型葉酸 | モノグルタミン酸型葉酸 |
| 含まれるもの | 緑黄色野菜、豆類、果物など | 葉酸サプリメント、栄養補助食品 |
| 体内利用効率 | 約50% | 約85% |
| 安定性 | 熱、光、水に弱く調理で失われやすい | 比較的安定している |
| 推奨される理由 | バランスの良い栄養摂取の基本 | 効率的・安定的に必要量を摂取可能 |
葉酸サプリのよくある疑問(リスク・不安編)
葉酸サプリの必要性は分かったけれど、実際に飲み始めたり、続けたりする中では、色々な疑問や不安が出てくるものです。
私自身も、クリニックでの栄養相談で多くのプレママさんからご質問をいただきます。
このセクションでは、特に多く寄せられる疑問について、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
Q. 妊娠に気づくまで葉酸サプリを飲んでいなかったけど、大丈夫?
これは、本当に多くの方が心配される点です。
妊娠検査薬で陽性反応が出て、喜びと同時に「しまった!葉酸サプリ、飲んでなかった…」と不安になってしまうお気持ち、とてもよく分かります。
まず、過度に心配しすぎないでくださいね。
葉酸を摂取していなかったからといって、必ずしも赤ちゃんに影響があるわけではありません。
日本人の平均的な食生活でも、ある程度の葉酸は摂取できていますし、何よりも、今この瞬間から始めることが大切です。
西口薬剤師 (株式会社まちかどメディカル 代表取締役) のアドバイス

「妊娠に気づいてからご相談に来られる方の多くが、ご自身を責めるような気持ちを抱えていらっしゃいます。でも、大丈夫ですよ。不安に思うお気持ちはよく分かります。でも、過去を悔やむよりも、『今日から赤ちゃんと自分のためにできることを始めよう』と前向きに考えてみてください。今からでも決して遅くありません。焦らず、今日からしっかりと推奨量を摂取していきましょう。それだけで、未来は大きく変わりますからね。」
Q. 葉酸を摂りすぎると、赤ちゃんに影響はありますか?
先ほども触れましたが、サプリメントからの葉酸には耐容上限量(1日あたり 900μg〜1,000μg)が設定されています。
この上限量を超えて長期間摂取し続けると、いくつかの健康リスクが指摘されています。
その一つが、ビタミンB12欠乏による神経障害の発見が遅れる可能性です。
葉酸とビタミンB12は、どちらも正常な血液を作るために協力して働く栄養素ですが、葉酸を大量に摂ると、ビタミンB12が不足していても貧血の症状が現れにくくなることがあります。
すると、その裏で進行しているかもしれない神経障害の発見が遅れてしまうリスクがあるのです。
また、一部の研究では、妊娠中の葉酸の過剰摂取と、生まれた子どもの小児ぜんそくとの関連性を指摘する報告もありますが、これは主に耐容上限量を超えるような過剰摂取に関連する研究であり、まだ明確な結論は出ていません。
神経管閉鎖障害の予防という確立された利益は、推奨量を守って摂取する限り、この不確かなリスクをはるかに上回ります。
大切なのは、推奨量を守ることです。
Q. 飲み忘れた場合はどうしたら良い?まとめて飲むべき?
「あっ、昨日飲み忘れた!」ということは、誰にでもありますよね。
そんな時、慌てて2日分をまとめて飲む必要はありません。
葉酸は水溶性のビタミンなので、一度にたくさん摂っても、余分な量は尿として体外に排出されてしまいます。
まとめて飲んでも効果が高まるわけではなく、むしろ体に負担をかけてしまう可能性も。
飲み忘れたことに気づいたら、その日は通常通り1日分を飲み、また翌日から普段のペースに戻しましょう。
飲み忘れた分を取り戻そうとして一度に2日分などを飲むことは、過剰摂取につながる可能性があるため絶対に避けてください。
一番大切なのは、毎日継続することです。
Q. つわりでサプリが飲めません。どうすればいいですか?
つわりの時期は、本当に辛いですよね。
食べ物の匂いもダメ、水さえも飲みたくない…そんな状態でサプリを飲むのは、とても大変なことだと思います。
私の栄養相談エピソード

以前、栄養相談に来られた妊婦さんで、つわりがひどく、錠剤タイプの葉酸サプリの匂いも味もダメになってしまったという方がいらっしゃいました。
彼女は「赤ちゃんのために飲まなきゃいけないのに…」と、涙ながらに話してくれました。
私は彼女に、「無理して飲むことがストレスになる方が、ママにも赤ちゃんにも良くないですよ」とお伝えし、一緒にいくつかの対策を試してみました。
例えば、匂いの少ない小粒タイプのサプリに変えてみたり、水なしで飲めるラムネのようなチュアブルタイプを試したり。
また、飲むタイミングを、比較的体調の良い時間帯に変える工夫もしました。
最終的に、彼女はフルーツ味のチュアブルタイプなら美味しく続けられることを見つけ、とても安心した表情をされていました。
このように、自分に合った形を見つけることが大切です。無理せず、色々な方法を試してみてくださいね。
【管理栄養士が解説】後悔しない葉酸サプリの選び方5つのポイント
さて、葉酸サプリの重要性や疑問点がクリアになったところで、いよいよ「どんなサプリを選べばいいの?」という実践的なお話に進みましょう。
ドラッグストアやインターネットを見ると、本当にたくさんの種類の葉酸サプリがあって、迷ってしまいますよね。
ここでは、管理栄養士の視点から、後悔しないサプリ選びのためにチェックしてほしい5つのポイントをご紹介します。
【Point1】葉酸の含有量が
まず最初に確認すべき、最も重要なポイントです。
厚生労働省が、妊活期から妊娠初期にかけて付加を推奨している葉酸の量は 400μg です。
市販されている葉酸サプリの多くは、この基準を満たしていますが、中にはマルチビタミンの一部として含まれていて量が少なかったり、製品によって含有量にばらつきがあったりします。
必ず、製品の裏側にある「栄養成分表示」を確認し、「葉酸 400μg(またはそれ以上)」と記載されているかしっかりとチェックしましょう。
これが、葉酸サプリ選びの絶対条件です。
【Point2】葉酸以外に、鉄やカルシウムなど必要な栄養素が配合されているか
妊娠中や授乳中は、葉酸だけでなく、様々な栄養素の必要量が増加します。
特に不足しがちなのが、鉄とカルシウム、そして葉酸と共に働くビタミンB群(ビタミンB6、B12など)です。
- 鉄: 妊娠中の貧血予防に不可欠です。
- カルシウム: 赤ちゃんの骨や歯を作る材料になります。
- ビタミンB6: つわりの軽減に関係すると言われています。
- ビタミンB12: 葉酸と共に赤血球を作る働きをします。
これらの栄養素は、食事だけで十分に摂るのが難しいこともあります。
そのため、葉酸サプリを選ぶ際には、これらの栄養素がバランス良く配合されているものを選ぶと、一度で必要な栄養素を効率よく補給することができます。
ご自身の食生活を振り返り、不足しがちな栄養素を補えるサプリを選ぶのがおすすめです。
【Point3】安全性は大丈夫?GMP認定工場で製造されているか
サプリメントは毎日、口にするものです。
特に、妊娠中というデリケートな時期は、その安全性に最大限こだわりたいですよね。
安全性を判断する一つの目安となるのが、「GMP認定工場」で製造されているかという点です。
GMP(Good Manufacturing Practice)とは、日本語で「適正製造規範」と訳されます。
原材料の受け入れから製造、出荷に至るまでの全工程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるようにするための製造工程管理基準のことです。
この認定を受けている工場は、医薬品レベルの厳しい品質管理・安全管理基準をクリアしていることの証。
大切な時期に飲むサプリだからこそ、このGMPマークがあるかどうかを、ぜひチェックしてみてください。
西口薬剤師 (株式会社まちかどメディカル 代表取締役) のアドバイス

「薬剤師の立場から見ても、GMP認定はサプリメントの品質を保証する上で非常に重要な指標です。加えて、不要な添加物が使われていないかも確認したいポイントですね。例えば、着色料、香料、甘味料、保存料などが過剰に使用されていないか、原材料表示をチェックしてみましょう。もちろん、全ての添加物が悪いわけではありませんが、できるだけシンプルな処方の製品を選ぶ方が、より安心して飲み続けられると思います。」
【Point4】毎日続けられる価格や形状か
葉酸サプリは、妊活から授乳期終了まで、1年以上にわたって飲み続ける可能性があります。
だからこそ、「継続しやすさ」は非常に重要なポイントです。
私の産後体験エピソード

私自身も、出産後は本当に自分の食事の準備をする時間も気力もない、という時期を経験しました。
赤ちゃんのお世話に追われ、気づけば夕方で、まともな食事は朝のパンだけ…なんて日も。
そんな時、水でさっと飲めるサプリメントには、精神的にも栄養的にも本当に助けられました。
「これさえ飲んでおけば、最低限の栄養は摂れている」という安心感は、想像以上に大きいものです。
この経験から、サプリ選びでは無理なく続けられる価格であること、そして錠剤の大きさや匂い、1日の摂取目安量(回数)など、ご自身にとってストレスなく続けられる形状であるかを確認することが大切だと痛感しています。
高価で高品質なサプリでも、続けられなければ意味がありません。
毎日のことだからこそ、ご自身のライフスタイルや予算に合った、ベストな選択をしてくださいね。
【Point5】信頼できるメーカーか、口コミや評判は良いか
最後のポイントは、そのサプリを製造・販売しているメーカーが信頼できるかどうかです。
- 会社の情報が明確か: 公式サイトに、会社の住所や連絡先がきちんと記載されているか確認しましょう。
- 問い合わせ窓口があるか: 不明な点があった時に、電話やメールで質問できる体制が整っているメーカーは信頼できます。
- 長年の販売実績があるか: 長く多くのママに選ばれ続けている製品は、それだけ品質や信頼性が高いと言えるでしょう。
また、実際に製品を利用した人の口コミや評判を参考にするのも良い方法です。
ただし、個人の感想には偏りがあることも念頭に置き、あくまでも参考程度に留めましょう。
良い口コミだけでなく、悪い口コミにも目を通し、自分にとって許容できるデメリットかどうかを判断する視点も大切です。
【FAQ】葉酸サプリに関するその他の質問
ここでは、これまでのセクションで触れられなかった、葉酸サプリに関する細かいけれど気になる質問について、Q&A形式で簡潔にお答えしていきます。
Q. いつ飲むのが効果的ですか?(食後?寝る前?)
葉酸サプリを飲む時間に、厳密な決まりはありません。
一番大切なのは、毎日忘れずに飲み続けることです。
一般的には、胃腸への負担を減らし、他の栄養素との吸収を助けるために、食後に飲むのがおすすめです。
また、毎日同じ時間に飲む習慣をつけると忘れにくくなります。
例えば、「朝食の後」「夕食の後」「寝る前」など、ご自身の生活リズムに合わせて、続けやすいタイミングを見つけてみてください。
Q. 薬と一緒に飲んでも大丈夫?
もし、持病などで何らかの薬を服用している場合は、葉酸サプリを飲み始める前に、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
葉酸サプリ自体は食品に分類されますが、薬によっては相互作用を起こす可能性がゼロではありません。
例えば、一部の抗てんかん薬などは、葉酸の働きに影響を与えることが知られています。
自己判断で併用せず、専門家に確認することが、安全のために非常に重要です。
Q. 男性も葉酸を飲んだ方が良いって本当?
はい、最近では妊活中の男性が葉酸を摂取することにも注目が集まっています。
葉酸は、女性だけでなく男性にとっても、正常な細胞分裂や遺伝情報の伝達に欠かせない栄養素です。
一部の研究では、男性の葉酸摂取が、精子の質や運動率に関係している可能性が示唆されています。
赤ちゃんは、ママとパパの二人から命を受け継ぎます。
ご夫婦で一緒に未来の赤ちゃんのために体を整える、という観点から、パートナーと一緒に葉酸サプリを飲むのも素晴らしい選択肢の一つですね。
Q. 葉酸サプリをやめるタイミングは?
この記事の結論でもお伝えした通り、葉酸サプリの摂取が推奨されるのは「授乳期が終わるまで」です。
具体的には、卒乳・断乳をして、母乳をあげなくなったタイミングで、サプリメントからの葉酸の付加は一旦終了して良いでしょう。
もちろん、その後も葉酸は健康維持に必要な栄養素ですので、バランスの良い食事を心がけることは続けてくださいね。
もし第二子、第三子を考えている場合は、継続して飲み続けるのも良いでしょう。
まとめ|正しい知識で、安心して葉酸サプリを続けましょう
ここまで、葉酸サプリをいつまで飲むべきか、そしてその理由や選び方について、詳しく解説してきました。
たくさんの情報をお伝えしましたが、最後に大切なポイントをもう一度振り返ってみましょう。
葉酸は、新しい命を育む上で、ママと赤ちゃんにとって本当に大切な栄養素です。
しかし、情報が多いために、かえって不安になってしまう方も少なくありません。
大切なのは、信頼できる情報源をもとに正しい知識を身につけ、ご自身が納得して、安心してサプリメントを続けることです。
葉酸サプリの要点チェックリスト
| チェック項目 | ポイント |
|---|---|
| ✅ 飲む期間 | 妊活開始1ヶ月前〜授乳期終了まで |
| ✅ 摂取量 | 食事に加え、サプリから400μg/日(特に妊活〜妊娠初期) |
| ✅ 選び方 | 含有量、配合成分、安全性(GMP)、続けやすさ、信頼性 |
| ✅ 不安な点 | 飲み忘れても大丈夫!気づいた時から calmly 再開を |
西口薬剤師 (株式会社まちかどメディカル 代表取締役) からのメッセージ

「これからママになる皆さん、そして今、育児を頑張っている皆さん、毎日本当にお疲れ様です。葉酸サプリは、皆さんの不安を少しでも和らげ、健やかなマタニティライフと育児をサポートするための、心強い味方です。この記事が、皆さんのサプリ選びの一助となれば、これほど嬉しいことはありません。もし、この記事を読んでもまだ不安なことや、個別に相談したいことがあれば、どうか一人で抱え込まず、かかりつけの産婦人科の先生や、お近くの薬局の薬剤師に声をかけてみてください。私たちは、いつでも皆さんの味方です。」
▼さらに詳しく知りたい方は
この記事は厚生労働省の情報を基に作成していますが、より詳細な情報や他の健康に関する信頼できる情報を知りたい方は、以下のサイトも非常に参考になります。
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 日本の栄養政策の根幹となる資料であり、葉酸の推奨摂取量、付加量、耐容上限量などの基準が示されています。
- 厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減に関する報告書について」 日本において、妊娠可能な年齢の女性への葉酸摂取を推奨するきっかけとなった公式報告書です。
- 日本産婦人科医会「先天異常部より – 飲酒、葉酸摂取による胎児異常発生について」 産婦人科の専門家団体による公式見解。神経管閉鎖障害予防のための葉酸摂取の重要性と、日本における課題について述べられています。
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「「健康食品」の安全性・有効性情報」 食事由来とサプリメント由来の葉酸の吸収率の違いなど、科学的根拠に基づいた詳細な情報が掲載されています。
- J-STAGE「神経管閉鎖障害と葉酸サプリメント」 日本の学術論文プラットフォームに掲載された総説。日本における神経管閉鎖障害の現状と葉酸摂取の重要性についてまとめられています。
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント」 国民向けに健康情報を分かりやすく提供する厚生労働省の公式サイト。葉酸に関する基本的な情報がまとめられています。
- JAMA「Effect of Folic Acid and Zinc Supplementation in Men on Semen Quality and Live Birth…」 米国医師会雑誌に掲載された大規模臨床試験。男性の葉酸・亜鉛摂取は、精子の質や出生率を改善しないことを示しました。